• 感染症に強い国づくりに向けた感染症研究プラットフォームの構築に関する提言/CRDS-FY2020-RR-05 2020年10月 科学技術振興機構 研究開発戦略センター
    • ポストコロナを見据えた我が国の感染症対策に資する科学技術戦略として、以下の5 項目を重点的に進めるべき項目とした。
      • 項目1 病原体に対する幅広い基礎研究とそこから得られる知識の統合
      • 項目2 ヒトを対象とした宿主 病原体研究推進のための研究基盤の構築
      • 項目3 加速的な診断・治療・予防法開発と実用化を可能とする多分野融合・産学連携研究構造の整備
      • 項目4 自然・人文・社会科学の統合知による感染症対策関連研究基盤の構築
      • 項目5 保健 医療体制・感染症検査体制の強化に資する研究領域の活性化
    • ライフサイエンス・臨床医学の観点から長期的視野に立ち、今後も起こり得る感染症危機において我が国での健康被害を最小限に抑えるためには、感染症研究基盤を盤石にすることが重要であると考えた。そこで、特にこれらの重点項目を牽引するための以下の3つの提言に至った。
      • 提案1:宿主-病原体双方からの感染症研究の推進
      • 提案2:微生物ゲノム情報データプラットフォームの構築・共有体制の整備
      • 提案3:感染症対策に資する人文・社会科学と自然科学研究の協働の推進
 
  • 目指すべきポストコロナ社会への提言 ─自律分散・協調による「レジリエントで持続可能な社会」の実現に向けて 2020.10.19 株式会社三菱総合研究所
    • レジリエントで持続可能な社会の実現に向けて
       第一の柱:自律分散協調社会を実現する
       第二の柱:新しい社会課題解決を付加価値創出につなげる
       第三の柱:国際ルール形成と重層的協調を主導する
    • ポストコロナのより良い未来
      • 日本がコロナを含む多くの試練を乗り越え、明るい未来を切り開くためには、みえてきた潮流の変化をチャンスととらえ、官民が積極的に行動を起こすことが大切だ。「自律分散」と「協調」の二つの軸により、積年の社会課題の解決を図る。その挑戦の過程で、デジタル技術を積極的に活用しつつ、イノベーティブな新しい社会モデルの創造を目指すことが、持続的な経済成長と豊かさ向上の原動力となる。
 
  • 中国モデルは限界露呈、ポストコロナは「コンパクト民主主義」を目指せ DAIMOND online 8/11(火) 6:01配信
    • 「コロナ後の社会」には、グローバリゼーションを超えた「スーバー・グローバリゼーション」が出現するだろう。グローバリゼーションとは、移動・輸送手段や通信技術の発達によって、ヒト、モノ、カネが国家や地域などの境界を越えて大規模に移動することによる、地球規模での社会、経済の変化である。この文脈では、国家を超えて活動する多国籍企業体や国際機関、欧州連合(EU)のような超国家共同体など巨大組織が勢力を拡大してきた。
    • それに対して「スーバー・グローバリゼーション」は、ITのさらなる進化により、移動すら必要ない。在宅でパソコンやスマートフォンを操作するだけで、世界中のモノを購入でき、ビジネスが行われ、行政サービスも受けられる。のみならず、政治的な国際交渉までが行われる。個人が国家・企業へのハッキング、サイバー攻撃が可能という世界だ。個人が国家や巨大組織を凌駕することもある、従来の常識を超えた世界の出現である。
    • 全国一律の新型コロナ対策を実施しようとする中央集権体制よりも、地方自治体や、中小規模国家・地域の「コンパクト・デモクラシー」が台頭している。「コンパクト・デモクラシー」は、政治・行政と市民の間の距離が近く、民主主義が機能しやすいのが特徴だ。議員との直接対話や陳情・請願、情報開示請求、市民参加、住民投票など、さまざまな民主的手法を市民が駆使。それによって、政治・行政による人権侵害を防ぐチェック機能を確立することができると考える。
    • スーバー・グローバリゼーションでは、世界の地域と地域が、国家という枠を超えて直接結び付く(第229回)。そして、個人の活動が劇的に広がる。若者がSNSを通じて世界中から資金調達して起業する。表現活動を行い世界的スターになる。在宅のまま世界中の大学の授業が受けられ、権威ある学術誌の枠を超えて、ネット上で最先端の研究が日々アップデートされることも珍しくなくなるだろう。
    • このような時代に、従来の国家という枠組みはもはやセーフティーネットとならない。個人の権利を民主主義的に最大限に尊重しながら、テクノロジーを駆使して現場の状況を的確に把握して、スピード対応でリスクを封じ込め、必要な措置を柔軟かつ機動的に行う必要がある。「コンパクト・デモクラシー」こそ、ポストコロナ時代の適切な社会モデルであると考える。
 
  • コロナ危機後の多国籍企業とコンパクト都市:グローバル価値連鎖の本社機能 瀬藤澄彦(帝京大学 元教授)2020.08.10 世界経済評論IMPACT
    • ポール・クルーグマンによれば21世紀のグローバリゼーションの最大の特徴は,多国籍企業の業務活動がその最適配置を求めてグローバルに分散していることである。その分散のパターンは米国型,欧州型,日本型と大きく分類されると同時に業種別にも戦略的にも区別されてきた。
    • あらゆる業種のすべての商品はグローバルな価値連鎖の最適な分散のなかで企画,調達,組立て生産,流通販売を行ってきた。
    • このような分散するグローバルな経営戦略を統合総括する世界本社が世界中に拡がるネットワークの頂点に立って制御,統率を行っている。世界の有力都市の序列はこのような巨大な多国籍企業の統括本部の立地があるかどうかによって決定される。今このネットワークに亀裂が入りつつある。
    • EU委員会の発表するデジタル都市世界ランキングでは第58位(2019年)の日本にとっては待ったなしである。デジタル田園都市構想,都市情報プラットフォーム,デジタル・トラスフォーメーション(DX),デジタル技術による医療技術を介した高齢化対策,などを一刻も早く推進すべき時である。
    • コロナ危機によって都市圏は知的職業従事者の集結していく空間にますます高度化していく。これはまたリチャード・フロリダが創造都市はコロナ後に復活してくると予言してことにも符合する。コンパクト・シティの空洞化は起こらないが,中間階層以下のひとびとの移動が予想される。
  • 今後想定される感染状況と対策について 新型コロナウイルス感染症対策分科会提言 令和2年8月7日
    • 会経済と感染対策の両立のための目標と基本戦略:政府への提案
      • 目標 :医療・公衆衛生・経済が両立しうる範囲で、
        • ①十分に制御可能なレベルに感染を抑制し、死亡者・重症者数を最少化。
        • ②迅速に対応し、感染レベルをなるべく早期に減少へと転じさせる。
      • 基本戦略:1.個人・事業者:ともに協力し、感染拡大しにくい社会を作る。
        • 2.社会:集団感染の早期封じ込め
        • 3.医療:重症化予防と重症者に対する適切な医療の提供
  • ICT利活用 今こそ備える ~第2波/第3波および将来の感染症に向けての方策とICTの活用 (株)情報通信総合研究所 前・顧問 平田 正之 2020年7月30日掲載 InfoComニューズレター
    • 当面の課題への方策と情報通信の役割についてのみ述べます。
    • (1) 医療・診療体制の強靭化→ICT利活用による統制強化
        ①治療・隔離対策――重症、中等症、軽症・無症状の分離(神奈川モデルの例)
        ②検査体制――感染者の早期発見、健保組合の施策充実等
    • (2) 国のガバナンス整備→ICTを使った情報発信と十分な周知・アクセス
        ①統合機能の確立、政府と知事の権限と役割の明確化
        ②国民生活の維持と経済回復の両立――多方面の専門家集団の結集
        ③長期に渉る対策の持続性維持――赤字国債返済、財政再建の道筋
    •  (3) マイナンバーカードの普及とデジタル化促進→これこそ本命の施策
        ①電子申請、手続迅速化、署名・印鑑慣行の変革
        ②PC/スマホとの連携とシステム化――省庁や自治体ごとのシステム不統一の解消
        ③システム統合と自治・分権の利害調整――毎度繰り返す論議に終止符
    • (4) 恒久的行動変容の追求→ICTによって日常行動や働き方、文化を変革
        ①テレワーク、オンライン授業、TV会合など働き方や社会慣行を改革
        ②遠隔診断・医療、電子申請・手続・決済の導入
        ③対面、書面、押印などの文化を変革――トラストサービスの早期導入・普及
    • (5) 人材育成→医療とICT・AI人材の裾野を拡大
        ①感染症の常態化――人材育成に至急着手、医学系・看護系の新増設
        ②公衆衛生にICT・AIを活用――データ収集・分析・シミュレーションに基づく政策判断
 
  • 感染が再拡大、ウィズコロナ下での防疫施策のあり方 - SEIR モデルを用いた感染シミュレーションと経済影響 - 株式会社三菱総合研究所 2020年7月30日
    • 新型コロナウイルス 感染症に対する今後の防疫施策のあり方を検討するための一助として、想定される複数の防疫施策シ ナリオについて、今後の感染状況と経済活動への影響を統合的に検証しました。
    • 結論として、ウィズコロナ下では、防疫施策の強化と緩和を交互に繰り返し、感染者数を一定以下に抑 えることが重要です。医療への負荷、経済への負荷をともに小さくする観点からは、防疫施策の厳格度 を柔軟に調整することで、ピークの感染者数を可能な限り小さく抑えることが必要となります。
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  • 西浦教授が語る「新型コロナ」に強い街づくり 「移動の制御」を正面から議論すべきときだ 野村 明弘 : 東洋経済 解説部コラムニスト  2020/07/16 5:25 東洋経済ONLINE
    • 短中期的に新型コロナの流行を制御し乗り越える努力を続けると同時に、長期的な視野で感染症に強い社会のあり方についても議論を始める必要がある――。そう提言するのが、厚生労働省クラスター班のメンバーである北海道大学大学院の西浦博教授だ。新型コロナは、疫学者にとってもノーマークだった面があると西浦氏は自身を省み、社会のあり方を見直す必要性を強調している。
    • 大地震が起きてから防波堤を作るなど、街づくりを見直す動きが起きているが、それは自然なことだ。加えて次の未知のウイルスも踏まえて、社会や街のあり方を見直す必要があると思う。そのためにも今回起きたことや、その背景やメカニズムを知ることが大切だ。
    • 1つは、都市に集住して、満員電車など人の接触が過剰な人口集中型社会。もう1つは、意外とノーマークだった「移動」だ。低料金で日帰り海外出張が可能になるほど、人々は簡単に国境をまたいで移動している。今回の新型コロナに限らず、最近のジカ熱やエボラ出血熱でもこの2つが触媒となり感染症は国際的に急速に広がった。人口密度や移動率の低い社会を作るため、街づくりや産業のあり方を考え直す必要があるだろう。
    • ドイツの街づくりは理想に近い。ベルリン、ミュンヘン、シュトゥットガルトなどの街が結節状(結ばれてフシとなること)に分散し、個々の街は第1~3次産業までほかの街に依存せず、ほぼ自前でもやりくりできる。ビジネスを含めて人の移動を最小にできる。これは感染症の波及効果が小さくなることを意味する。
      現在の交通ネットワークを捨ててしまうのではなく、感染リスクを高めない形で分業的な生産体制や物流を維持・拡大する代替策を考えていく必要がある。
    • 移動の制御についても、感染症リスクを踏まえたうえでの社会の仕組みとして必要だと認識されれば、移動の自由を唱える人たちとの間で最適解を見いだしていくことはできると思う。
  • ポストコロナの世界と日本 ─レジリエントで持続可能な社会に向けて 三菱総合研究所 2020.7.14
    • コロナ禍での経験は、これまでの世界の大きな潮流を変化させた。その変化には、①既に表れていた潮流の加速、②新たな潮流の出現、③価値の再認識、の3通りがある。これらの視点から、ポストコロナの社会を方向づける3つの潮流を抽出した。
    • ポストコロナで目指すべきは、「レジリエントで持続可能な社会」の実現と考える。このレジリエントで持続可能な社会とは、感染症等のショックに対しても柔軟に耐える社会であるとともに、地球環境を維持しつつ、経済の豊かさ、そして個人のウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)を持続的に両立できる社会である。
    • この社会を実現するための方向性として、(1)レジリエンスを高めるために「自律分散」的なシステム構築を目指すこと、(2)政府、企業、市民が持続可能性を重視し「協調」的な動きを行うこと、の2つの軸を据えた。
    • 国際、産業・企業、社会・個人の3分野において、「自律分散」と「協調」の2つの軸で向かうべき方向性を整理すると、国際分野では、①ルールに基づく国際秩序の再構築、②重層的な国際協調が、産業・企業分野では、③デジタルとリアルの融合による新たな付加価値の創出、④マルチステークホルダー経営が、社会・個人分野では、⑤自律分散による社会の強靭化、⑥利他的視点に立った協調、が鍵となる。
 
  • コロナ禍の東京・New York比較と医療イノベーション 2020.07.09 キャノングローバル戦略研究所
    • わが国では、医療機関の混乱を防ぐ目的で保健所がPCR検査を意図的に抑制したことで、市中感染の進行を把握できずに一般の医療機関でクラスターが発生、国民の診療自粛、COVID感染患者を受け入れていない医療機関でも一般医療の縮小、収益悪化という事態に陥った。東京都はNew York市に比べてCOVID19感染患者が35分の1、病床数が3倍であるにもかかわらず実質的に医療崩壊したのである。
    • 多くの先進諸国では医療技術の進歩と共にIntegrated Healthcare Network(略称IHN)と呼ばれる仕組みが医療制度の中核を担うようになっている。New York市には、6つのIHNがある。そのうちNYC Health+Hospitalsは公立病院を核にしたIHNであり、残りの5つは民間非営利病院を核にしたIHNである。
      • IHNは、セーフティネットの責務を果たすために、平時は病床に余裕を持たせる運営をしてきた。
        第1波の際の学習効果もあり、6つの各IHNが設置しているコロナ専門病院を強化し、第1波の時にセントラルパークなどに増設した臨時病床を活用すれば、危機をコントロールできる可能性がある。
        • コロナ専門病院とは、中等症以上のCOVID19感染者を受け入れることに特化した病院のことである。その役割は、患者を特定施設に集約することでCOVID19によって一般医療の機能が浸食されることを軽減することにある。
    • 現在は新規感染者数や重症者数のレベルに応じて都内医療機関に個々に協力依頼をして必要病床を確保する方針のようである。これは、4月初旬にCOVID19感染が疑われる発熱患者が救急車でたらい回しに会った時と変わらない仕組みで第2波に臨むことを意味する。秋に予想されている第2波が第1波の数倍のCOVID19感染者になった場合、現状のままで東京都の医療体制が持ちこたえられるとは思われない。
      • 東京都と比べて感染者が35倍、病床数が3分の1のNew York市の医療提供体制は、核となっている6つのIHNが倒産すことなく、コロナ禍前の状態に戻りつつある。第2波、第3波とCOVID19との闘いが長期戦になればなるほどIHNの意思決定メカニズムがその力を発揮するはずである。
    • 日本以外の先進諸国の多くでは、デジタルヘルスのインフラが既に完成しており、主たる医療機関のWEBサイトにはDigital Health、eHospital、Virtual Careの説明が掲載されている。これにAIによるCOVID19感染者の重症化予測、ロボットによるPCR検査などが加わり、医療提供体制の構造変化が本格的に始まったのである。
    • 安倍政権は、「未来投資戦略2017」でPersonal Health Record(国民一人ひとりが自分の電子診療録を管理し医療チーム内で活用できる仕組み)を2020年までに本格稼働させると公約した。しかし、2020年時点でPHRの欠片すら見えない。
      • その根本的原因は、Integrated Healthcare Networkを全国に配置することができていないことにある。医療情報を基盤とする医療イノベーションを社会実装するためには、国民から信頼されるプラットフォーム事業体の存在が不可欠である。国民が自分の医療情報を納得して預けるのは主治医が勤務する医療機関に限られる。その医療機関がプラットフォーム事業体となるには大規模で非営利が条件となる。非営利でなければ開業医など他の医療機関が患者情報共有に参加しないからである。そして、デジタルヘルスなどイノベーションの経済的メリットの大半を最初に享受するのは保険者である。したがって、医療情報プラットフォーム構築の投資コストを原則保険者が負担する仕組みが必須となる。
      • このロジックを反映させた改革を実行しない限り、わが国の医療制度はますます他国の後塵を拝することになる。
 
  • 提言 感染症の予防と制御を目指した常置組織の創設について 令和2年(2020年)7月3日 日本学術会議 第二部大規模感染症予防・制圧体制検討分科会
    • 2 現状と問題点
      • COVID-19 流行は、わが国が新しい感染症に対するレジリエンスが不十分であることを
        改めて認識させ、感染症対策とそれに付随する社会・経済的影響への対応など様々な問題点を浮かび上がらせた。特に対応が困難であった点は、無症状病原体保有者の把握とその対応、ウイルス検査と保健・医療の現状分析と必要な体制の整備、感染源・感染経路対策と、その結果生じたこれまでに経験のない社会・経済的影響への対策と人々の現在と将来の生活への不安・ストレスへの対応、人権問題としての誹謗中傷・差別、入国制限の判断、クルーズ船検疫などであった。
    • 4 提言
      • (1) 内閣府に常設の組織として感染症予防・制御委員会(仮称)を設置すべきである
      • (2) 都道府県に常設組織を設置すべきである
        • 感染症対策に関して都道府県知事に助言を与える専門家の常設組織を設置すべきである。この専門家委員会には、保健所長、感染症の様々な側面に関する学問分野の専門家、医師会・主要医療機関の代表などが入ることが望ましい。
      • (3) 体制の強化
        • 感染症研究の促進、人材の養成、流行時の緊急対策等の観点から、感染症対策に関わる機関の体制を強化し機能を高度化すべきである。特に、国が責任をもって感染症に関するデータセンターを設立し、国内全ての感染症および感染症対策に関する基礎的・疫学的・臨床的電子データを保存すべきである。また、このようなデータを必要とする幅広い研究者に提供し、オープンサイエンス1を促進する環境を整備すべきである。
 
  • 米国をモデルにし、人やカネすべてが東京に向かう時代の終わり 「コロナ後の世界」特集(4)広井良典:京都大学こころの未来研究センター教授 2020.6.26 5:15 DAIMOND online
    • ある意味で日本社会全体が「3密(密閉、密集、密室)」だったともいえるのであり、このように考えると、今回のコロナ禍は、むしろこれまでの日本がいささかアブノーマルだった部分に“気づき”、それを(実は多くの人々が望んでいた)本来の人間的な働き方や生活に転換していく、良き意味での“外圧”ないし契機と、とらえられるのではないだろうか。
    • 京都大学に設置された日立製作所の研究開発グループ(日立京大ラボ)との共同研究で、日本社会の現在、そして未来にとって重要と思われる「人口」や「GDP」「高齢化」といった約150の社会的要因からなる因果連関モデルというものを作成し、AIを使って2050年に向けての2万通りの未来シミュレーションを行った。
      • その中で、2050年に向けた未来シナリオでは、主に東京一極集中に示されるような「都市集中型」か「地方分散型」かという分岐がもっとも本質的であり、しかも人口・地域の持続可能性や格差、健康、幸福といった観点からは、「地方分散型」のほうが望ましいという結果が出たのである。
    • 私は「都市集中から地方分散へ」という方向こそが、アフターコロナの日本社会を考えていく上でもっとも重要な軸になると考える。
      • ここで分散というのは、いわば、個人の生き方や人生のデザイン全体を含む、包括的な意味での「分散型」社会である。つまり、“密”から“散”、あるいは「集中から分散」という方向は、個人が従来よりも自由度の高い形で働き方や住まい方、生き方を設計していくことを可能にし、それは結果として経済や人口にとってもプラスに働き、社会の持続可能性を高めていくだろう。
      • 「コロナ後」の社会構想の中心にあるのは、こうした包括的な意味での「分散型社会」への移行なのである。
    • コロナ禍で多くの人が気づいたのは、人やカネの都市集中に象徴される効率性や便利さをひたすら追い求めてきた社会のもろさであり、その中で格差や貧困化が進んでいる深刻さだ。あらゆる面での「分散型社会」への移行ということを積極的に進めながら、格差・分断を増大させないような姿になるためのさまざまな政策を並行して進めていくことが基本テーマになる。
 
  • 若者を見ればわかる「アフターコロナに爆発する7つの新しい価値観」 自由な時代に「ライブ配信」好調の訳 PRESIDENT Online 吉田 将英 電通 コンセプター/電通若者研究部 研究員 2020/06/11 15:00
    • 若者たちをみていると、コロナ禍で急速に進んだように思われる「価値観の変化」が、すでに先取られていたことに気付きます。電通若者研究部では、その変化を以下の7つにまとめています。
    • 1.殿様化:
      • 自ら出向く「ご奉公型」ではなく、物事の方からやって来てくれる「殿様型」へ、多くの点でシフトしました。Z世代(1995年以降に生まれた若者)の1つのコンテンツの平均消費時間は8秒で、一度に平均5つのスクリーンを使用する。言い換えれば8秒で見切りをつけて次を探しに行く。まさに「多くの陳情を裁く殿様」のような状態です。
    • 2.時決ニーズ:
      • コロナ禍は多くの人に「時間の裁量」を与えました。自由ということは、社会規範により決められていた「一律の時間」で生きる度合いが減り、個々人が「それぞれの時間」を生きる度合いが増えたとも言えます。
    • 3.能動圧力:
      • 社会からすれば、何も能動的にやらないで家にいる自分は「いないのも一緒」なのではないか。そういった「能動的でないといけないと感じる圧」は強まったとも言えます。動画配信やツイートは、この心理の表れでしょう。
    • 4.Mind to Mind:
      • 若者の価値観はコロナの前から「同一性に基づく信用」にこだわるよりも、「多面性を前提とした信頼」へと、シフトしていました。Face to Faceでコミュニケーションをすることに本質はなく、大事なのはMind to Mindで向き合っているか。若者はもとより、他者を「フィジカルな同一性でしか信用しない」という価値観から移行していたわけです。
      • 見えない他の面について過度に詮索したり疑ったりすることはしない。このシフトは、感染拡大を避ける生活様式を検討する中で改めて浮き彫りになった手続きや業務の非効率性の課題も相まって、不可逆な変化として続くでしょう。
    • 5.アンダーコントロール感:
      • 人と人との間に時間や空間、物質を介在させることが、「物事をアンダーコントロールできている安心感」になっています。ともすると人間にとって最もコントロールできないのは「他の人間である」という感覚は、悲しいかな当たり前のものとして残るでしょう。
      • 一方、今回のリモートワークの会議で「スモーカーの上司がタバコを吸いながらうれしそうに参加していた」というように空間や物質を人と人の間に介在させることが、互いが生きやすくなる上で良い作用をもたらすこともあるわけです。
    • 6.オピニオンファースト:
      • 自己表現のパラダイムが自分の外側に存在する「客体を使ったアプローチ」から、自分自身の内側からの「主体的なアプローチ」に変わりつつあります。これらを踏まえると客体をビジュアルで表現する方法から、よりその人の意見や主義といった非物質的な「オピニオン」が重視されていくと見ています。
    • 7.不文律のリセット:
      • コロナ禍があらゆる人にとって未知の体験だったために、「前提をリセットしたピュアな疑問」を若者以外の世代も抱くこととなりました。これまで大勢の人が「なんとなくそういうものだから」という理由だけで行ってきたことが瓦解しつつあります。よく考えたら必然ではなかった行為は、「しなくてもいい行為」としてデリート対象になり、今後急速に支持されなくなっていくでしょう。
    • 以上7つの変化のすべてに共通するのは、「自分の生活の自由度を、自分で編集しているか」という問いが個々人に改めて強く提示されたということではないでしょうか。
    • コロナ禍ではこれまでのさまざまな常識が覆されました。その結果、若者たちは「社会が提示する価値観や常識だからといって間違いないとは限らない」ということを学習したと思います。
    • 若者とは社会で「最初に新しくなる人」とも言い換えることができ、われわれはそのような存在だと捉えています。7つの変化は若者のみならず、今後ますます社会全体に広がっていくでしょう。

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