• 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 のパンデミックが もたらす新たな安全保障世界観 笹川平和財団海洋政策研究所特別研究員 秋元 一峰 笹川平和財団海洋政策研究所 2020年5月7日
    • グローバリゼーションと疫病の大流行には相互作用がある。グローバル化のもと、疫病は国境の壁を越えて拡散する。
      • 黒死病がヨーロッパを中心に各地で流行し始めたのは 1347 年頃からである。当時のユーラシアは、モンゴル帝国が支配する“ユーラシアグローバリズム”の真っただ中にあった。
      • スペイン風邪は戦争のグローバル化がもたらしたパンデミックであった。
      • 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 のパンデミックも、グローバル化と中国依存のサプライチェーンがもたらした産物であることは確かだ。
    • 黒死病もスペイン風邪も、それまでの社会を律してきた理念と国際構造に大きな変化をもたらした。
      • 黒死病は、ヨーロッパにおける農業と文化に革命的な変化を与え、それが権力構造を一変させた。農奴に依存していた荘園制が消滅し、それによって封建制度が崩壊した。教会の権威が失墜して宗教改革が起こり、ルネサンスが一気に進展した。中世ヨーロッパの既存のレジームは大きく変化した。
      • スペイン風邪は終戦後の世界の再構築に大きな影響を与えた。主権国家の境界は強固なものとなり、政治における強いリーダーシップが希求された。ポピュリズム的な政党が支持を得て、ナチス主義を台頭させた。トーマス・W・ウイルソン米大統領の唱える国際連盟の理念をしり目に、世界は勢力ブロック化の道を進んだ。
      • 今後、アメリカと中国は国際社会全体を巻き込んで外交、経済、安全保障などあらゆる場面で対立を鮮明にしていくであろう。今後、対中国外交を巡って欧州連合に亀裂が入ることも予期すべきであろう。
    • 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 終息後の世界において経済活動を再活性化させたいのであれば、グローバル化を閉ざしてはならないことであろう。その中において必要なことは、グローバル化を編成し直す発想である。まずは、現下の中国に過度に依存するサプライチェーンは見直されるべきである。重要なことは自由民主的な統治を広め、権威主義的な動きを封じ込めることである。
    • グローバル化の再編成のためのバックボーンとして、自由民主主義に基づき国際法を遵守する法治国家が協調して、国際安全保障態勢を確立することの必要性を再確認しなければならない。
    • 地球温暖化とパンデミックには相互作用がある。
      • 新型コロナウイルス感染症 COVID-19 のパンデミック終息後のグローバル化の再構築においては、「パンデミック安全保障」(PandemicSecurity)と「気候安全保障」(Climate Security)を考慮に入れるべきであろう。「気候安全保障」、「パンデミック安全保障」と経済発展を両立させるための知恵が求められる。国際連合が採択した「持続可能な開発目標」(SDGs)を達成するためにも、その知恵が必要である。
  • 第一に、国際関係においては、「世界の連帯」が生まれると考えられる。
    • 第一次世界大戦後に国際連盟がつくられ国際協調の機運が生まれたように、第二次世界大戦で国際連合ができて地球規模の問題に共通して対応する制度が生まれたように、今回のコロナ危機でも新たな国際協調の仕組みや機運が生まれるだろう。
  • 第二に、政治では「政府の強大化」が起こる。
    • 今回のような危機においては、政府の大きな役割が不可欠であると考えている。しかし、危機が終わった後には、このような私権制限や巨額の財政支出は直ちにやめなくてはならない。
  • 第三に、経済においては、「フリーランスなど独立請負人によるギグエコノミー(gig economy 独立請負人が担う経済のこと)が台頭すること」が考えられる。
    • 歴史的に見てパンデミックは、中世に起きたペストの蔓延が労働者数減少をもたらし、労働者の立場を強めた結果として、近代の資本主義社会発生を促したように、感染症や戦争、恐慌などの苦境が経済構造の下の方の人々の課題を浮き彫りにして、その力を強める方向に働くことが多い。今回のコロナ危機においても、フリーランスをはじめ独立請負人の立場は強まるであろう。
  • 第四に、都市は「大都市集中密集の回避」へ向かうだろう。
    • 今回のコロナウイルス感染で分かったのは、大都市の脆弱性である。武漢から発した感染は主として世界の大都市を中心に爆発した。
      • 国立情報学研究所等の調査では、「自宅から職場までの距離が2.5キロ以上の人を全員テレワークで在宅とすれば、逆に2.5キロ以内の人が全員出勤しても、人の移動は8割減る」ことがわかった(4月14日、NHK報道から)。このように対人接触は、大都市の長距離通勤が引き起こしている側面が強い。一方、小さい村や町では、2.5キロ以上離れた職場に公共交通機関を使って通っている人は少ない。この点が都市部以外での感染拡大防止に繋がっているのだ。
    • 今後はテレワークを全面的に認め、東京ではなく、地元や自分の住みたい場所に住める時代になる。そのことが、感染症対策になり、生活水準を高め、地方の発展に繋がる。よってポストコロナの時代は、大都市集中密集を避けた「田園都市の時代」になると考えられる。
  • 第五に、人々の志向(価値観)は「簡素・静謐(せいひつ)・利他など精神的価値と芸術の重視」へと向かうだろう。
    • 歴史を見れば、芸術は人々の精神に好影響を与え、社会を進展させてきた。今回、演劇やコンサート、美術館、映画館などが休業に追い込まれた。芸術の重要性を再認識した人も多いことだろう。劇作家の平田オリザ氏が言う通り「芸術を失うことは社会的な損失」なのである。
 
  • コロナ支援で置き去りの在留外国人、彼らを見捨てる日本でいいのか DOL特別レポート 2020.5.7 5:30
    • 感染拡大防止協力金のほかにも国や自治体が、コロナウイルスによって影響を受ける事業者や個人に向けてさまざまな支援策を打ち出しているが、いずれも外国人に対するアナウンスはない。
    • 外国人の労働力が日本社会を支えるようになって久しい。だが、彼らを守る仕組みが実はいくつかあることを行政はまったく告知しておらず、この非常時に彼らを置き去りにしている。
    • 「日本は社会保障や制度を整えないまま、留学生や労働者を受け入れてきました。そのひずみが、コロナで明らかになったと思います」(NPO法人「POSSE」の、外国人労働サポートセンターを担当する岩橋さん)
    • 労働力不足を補うために国の方針で外国人を増やした以上、厳しい状況に置かれている在留外国人たちに、もう少し目を向けてもいいのではないだろうか。

 

  • 〔コロナ後の日本〕感染症頻発の裏に環境破壊、終息まで1年以上=山本・長崎大教授 2020年5月4日 / 07:07 / 9時間前更新 Reuters

    • 新型コロナが終息するには人口の7割が免疫を獲得する必要があり、最低でも1年以上かかると予測。コロナ後の世界は成長一辺倒の市場主義を転換し、持続可能な社会を築く必要がある。

    • 近年、エボラ出血熱や新型コロナなど、その頻度が高まっている。その理由として、「人間による環境破壊で生態系が混乱を起こしている影響だ」と指摘。「開発や地球温暖化によって野生動物とヒトの暮らす空間が近づき、ウイルスがヒトに伝播しやすくなった」と述べた。

      • 今回の新型コロナがこれまでのウイルスと異なるのは、その感染スピードだ。端的に言えばグローバル化の影響。物流も含めたヒトの移動が爆発的に増加し、感染を大きくした。世界的に都市化が進んで人口が特定地域に密集し、飛行機の利便性が高まったことで都市間の移動が増えた。 

    • ​集団免疫の獲得には、自宅待機などで人と人の接触を減らし、感染スピードを遅くするやり方が望ましい。医療崩壊を防ぐことができ、ワクチン開発の時間を稼ぐことができる。感染スピードが遅ければ、毒性の強いウイルスの行き場がなくなり淘汰される。

    • 市場主義に基づいた経済開発を進めて熱帯雨林を破壊、その結果としての地球温暖化などが、ウイルスを人に呼び込む原因になった。自然を使い尽くす開発からの転換、持続可能な開発目標(SDGs)を考えて発展をする必要がある。

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