• 適応力高める制度設計を コロナが示した医療の課題 伊藤由希子・津田塾大学教授
    経済教室 2021年7月6日 5:00

     
  • コロナ禍で成立した改正医療法で何が変わるか-医療計画制度の改正、外来医療機能の見直しを中心に 2021年07月06日 ニッセイ基礎研究所
    • 6月16日に閉会した2021年通常国会(第204国会)では、医療提供体制改革を目指す改正医療法が成立した。今回の改正では、医師の長時間勤務を制限する医師の「働き方改革」に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、医療計画に新興感染症への対応を位置付ける改正が盛り込まれた。さらに、医療提供体制改革を目指す「地域医療構想」を進める一環として、統廃合などで病床を削減した医療機関を財政支援する財政制度の恒久化とか、外来医療機能の明確化、医師の業務範囲を見直す「タスクシフト」など、かなり広範な内容が含まれている。さらに、医師の働き方改革や地域医療構想の推進などを通じて、医療や自治体行政の現場が影響を受ける可能性もあり、国会審議ではコロナ禍で医療提供体制を改革する是非が焦点となった。
    • 本稿は改正内容のうち、(1)新興感染症への対応を医療計画に追加、(2)病床再編・削減を支援する予算措置の恒久化、(3)外来医療機能の明確化――という3つの点を中心に、改正内容や背景・経緯を簡単に説明する。その上で、別稿で触れた医師の働き方改革の影響も加味しつつ、医療機関の経営や地域医療の体制、都道府県の実務に及ぼす影響などを考察する。
 
  • コロナ禍が世界の観光業に与える損失「2年間で4兆ドル」 Forbes Japan 2021/07/06 16:45
    • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴い、海外旅行業界が崩壊したことによる世界経済への損害は、2020年と2021年を合わせると4兆ドルに上る可能性があることが、国連の新しい報告書で明らかになった。
    • 国をまたいだ観光客が急減したことで、2020年は2兆4000億ドルの損失が生じた。2021年も同規模の損失が出る可能性がある、と国連報告書は警告している。回復の度合いは、世界全体でワクチン接種がどのくらい進むかによって大きく左右されるという。
    • 海外旅行がパンデミック前の水準に戻るのは、早くても2023年というのが専門家の見方だ。
      2021年の観光客を75%減と想定した最も厳しいシナリオでは、世界の損失額は2兆4000億ドルになる。このシナリオが現実となった場合に壊滅的な打撃を受けかねないのが、観光業に依存する多数の国々だ。
       
  • コロナ下で女性の雇用回復が遅れ、貧困も増える ゲイツ財団報告 なぜ女性の方が男性より雇用の回復が遅れているのか、解決策はあるのか 2021.07.03 NATIONAL GEOGRAPHIC
    • ゲイツ財団は2021年6月30日、国連ウィメンの「平等を目指す全ての世代フォーラム」と共同で、ユーラシア・グループと国際労働機関(ILO)による調査結果を発表した。この中で、なぜ世界中の女性が大きな打撃を受け、さらには雇用回復も遅れているかを明らかにした。
    • ゲイツ財団が発表したデータによれば、パンデミック中は男女とも同等の割合で職を失ったが、再就職した割合は女性の方が少ない。女性の雇用者数は2021年、2019年より1300万人減少する見込みだ。
    • 雇用格差の主な理由の一つは、いまだロックダウンの影響を受けているのが、小売、観光、ホスピタリティー、レストランなどの業界で、しかもこうした業界で女性が多く従事してきたことがある。
    • もう一つ大きな理由が育児だ。学校や保育園が閉鎖されて、子供の世話をするために、仕事を辞めざるを得なくなった女性たちがいる。パンデミック前、1日9時間以上を育児に費やす女性は全体の4分の1だったが、パンデミック下の現在はその割合が全体の3分の1まで増えている。
    • パンデミック下の生活に関する指針や優先順位は、誰がそれを決めるかによって大きく左右される。現在、137カ国に225の新型コロナウイルス感染症に関連するタスクフォースが存在するが、女性のメンバーは4分の1しかいない。さらに広く見れば、女性は医療従事者の70%を占めながら、意思決定できる立場にある女性はわずか25%しかいない。
    • そのため、本来なら女性の生活に不可欠なケアが、コロナを理由にないがしろにされてしまう事態に陥った。具体的な事例を挙げよう。ザイディ氏によれば、ロックダウン中、女性を対象にした避妊などの医療プログラムは不可欠なサービスとは見なされなかったという。その結果は? 推定1200万人が避妊の手段を失い、望まない妊娠が140万人に達した。
    • 失業、育児、望まない妊娠の累積的な影響として、貧困が拡大している。パンデミック前、世界の貧困率は2.5%の割合で減少していたが、2021年は9%増加すると予想されている。
 
  • コロナ危機が暴いた日本の没落<日本総合研究所会長・寺島実郎氏> 月刊日本 2021年07月03日
    • 今年5月末で、日本国内で初めて感染者を確認した昨年1月から500日が経ちました。私たちはここで「コロナ500日」を総括する必要があります。
    • 重要なことは、問題はコロナそのものにあるのではなく、コロナがあぶり出した日本の構造的な課題だということです。結論を先に言えば、今の日本には物事の本質や全体像を体系的・構造的に捉える「全体知」や課題解決のための「総合エンジニアリング力」が決定的に欠落している現実が暴かれたのです。
    • 基礎研究の理論は臨床研究で人体にどう作用するかという検証を経て、初めて実用化されますが、基礎研究と臨床試験の間には「死の谷」(デスバレー)が横たわっていると言われます。それほど基礎研究を臨床研究に応用するのは難しいということです。日本の医療研究は基礎研究ではそれなりの成果をあげられていますが、デスバレーを超えて臨床研究で成果をあげる総合エンジニアリング力が欠けている、ということなのです。
    • その結果、ワクチンをどう入手するか、ワクチンの打ち手をどう確保するかという議論に埋没しているのが、現下の日本の状況なのです。
    • 政府は昨年から現在に至るまで感染拡大・病床逼迫・緊急事態宣言というルーティーンに陥っています。コロナ病床が不足するから緊急事態宣言を出すという説明は、「コロナのトンネル」に入った昨年時点なら通用したかもしれませんが、500日経った今では本来通用しません。
    • なぜこの間に、コロナに対応する病床を増やしたり、専門病院を作ることができなかったのか。1年以上、何をしていたのかということです。
    • 政府は昨年度に第1次補正から第3次補正まで、総額76・6兆円の補正予算を組み、「1人10万円」の特別定額給付金をはじめとする総額55・9兆円の経済対策を行いました。それに対して、医療対策は9.2兆円であり、予算全体の1割程度にすぎません。しかし、その経済対策が果たして効果的だったのか、これはしっかり検証しなくてはなりません。
    • ここで指摘しておきたいのは、日本はこの10年の間にコロナ禍と東日本大震災という二つの災禍に見舞われたという視点です。この二つの危機を冷静に総括する必要がある。
    • 東日本大震災から10年が経ちますが、この間に政府は復興庁を創設し、2019年度までに37兆円の復興予算を投入しました。その結果、被災地はどうなったか。37兆円の復興予算が土木建設業を中心に投入され、ハード優先の復興が進められた結果、被災地の産業構造が歪められ、人間の顔の見えない地域に変質したということです。ハコモノだけは作ったが、人間の生活は戻ってきていないのです。それは、被災3県を含む東北6県の全体を見渡した上で、この地域にどういう産業を興し、いかなる生活の基盤を築き上げるのかという総合的な構想、グランドデザインが描かれていないからです。
    • その間に、アベノミクスなるものがあったわけです。私は以前から日本の危機的状況について警鐘を鳴らしてきたのですが、「株価が高いからいいではないか」という楽観視が先行して、危機感を共有する人は少なかった。株高円安というアベノミクスの上辺だけの効果で、「日本もそこそこ上手くいっている」という幻想にまどろむ経済人が多かったのです。
    • その結果、我々は今まさにコロナ危機によって「経世済民」という意味での実体経済の虚弱化が顕在化し、それによって著しく弱体化した日本産業の凋落が白日の下に晒されるプロセスを目撃しているのです。
      いま国際社会の中では「日本の埋没」という認識がコンセンサスになりつつあります。
    • たとえば、世界全体のGDPに占める日本のGDPの割合はピーク時の17.9%(1994年)から既に6%(2020年)まで縮小しています。わずか四半世紀のうちに世界経済における日本経済の存在感は3分の1に圧縮されてしまったのです。
    • 最大のトラウマは、MRJ(三菱リージョナルジェット、現MSJ)の挫折です。巨額の開発費をかけた末に、昨年凍結に追い込まれました。表向きはコロナ禍によって航空機需要が見込めなくなったと説明されていますが、現実には総合エンジニアリング力不足から頓挫したのが実態です。他の日本企業も惨憺たる状況です。日本の技術力は世界最高峰だ、円高株安のアベノミクス万歳などと安易に寄りかかっているうちに、日本の基幹産業はメルトダウンして国際競争力を失いつつあるのです。
    • ワクチン開発の遅れ、MRJの挫折、基幹産業のメルトダウン、さらに言えば東日本大震災からの復興の歪み、アベノミクスへの耽溺、コロナ禍での迷走、これらの問題の根源はいずれも総合エンジニアリング力、構想力の欠如なのです。これこそが東日本大震災から10年、コロナ500日の今、日本人が肝に銘じるべき教訓です。
    • 外交構想力の欠如も深刻です。先日、日米首脳会談が行われましたが、ここで明らかになったのは、トランプ政権時代に排除されていた「ジャパノロジストの復権」です。知日派と親日派は違います。
    • ファーストネームも第5条尖閣適用も、いわば日米同盟の固定化を自らの利害とするジャパノロジストに仕掛けられたものにすぎません。ところが、日本人は相変わらず彼らの手のひらで踊らされ、喜ぶような自虐の構造にはまり込んでいるとも言えます。
    • 重要なのは、問題の所在を指摘するだけでなく、それを解決するプロジェクトを実行することです。将来の日本人が支えとして生きていけるような新たな経済産業の基盤を、作り上げなければならないと思います。何より毎年のように地震から豪雨まであらゆる自然災害に痛めつけられる日本列島において、今後はさらに感染症が波状的に襲来するならば、国民の安全を確保する産業基盤の構築は急務です。
    • 我々日本人は誰かが助けてくれることを願うのではなく、自ら知を錬磨していかなければなりません。
       
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における我が国のワクチン開発に関する課題と対策の抽出〔調査資料-308〕2021年6月30日 科学技術・学術政策研究所
    • 新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)に対するワクチン(以下、COVID-19 ワクチン)の開発を取り巻く背景を明らかにするために、まず、関連する情報を収集し整理した。
    • その結果、日本の疾病構造(疾病別死亡率)は、がんが突出しているという特徴があり、COVID-19 による感染件数及び死亡件数も欧米に比べて低いことが示された。さらに、研究開発では、COVID-19 に関する論文やプレプリントは諸外国と比較して少ないが、COVID-19 に限らない臨床医学分野や基礎生命科学分野全体の論文の世界シェアは高く、感染症に関する特許の国際シェアも高い。一方、日本のワクチン製造開発企業の研究開発費総額は、世界のワクチン市場上位の企業と比べると少ない。バイオベンチャーは創薬に重要と言われるが、日本では上場しているバイオベンチャーは非常に少なく、そのうちの 6 割を占める創薬を実施するバイオベンチャーの開発の対象疾患はがんが多い。また、全体的に臨床開発の段階よりも探索段階が多いことが示された。
    • 次に、日本が欧米と比べて COVID-19 ワクチンの開発が遅れている原因を明らかにし、今後の課題とその解決策を検討することを目的として、我が国においてワクチンの研究開発を先導している産学の専門家から意見を聴取した。
    • その結果、日本は世界有数の創薬力があり、世界の中でも秀でてワクチン開発のポテンシャルがあるものの、日本では、COVID-19 のパンデミックに対し国全体で総力をあげて対処するという有事の体制になっていなかったこと、パンデミックに対する研究体制を平時に整備していなかったこと、疾病構造の変化により医学研究における感染症の位置づけが低下し、感染症に関する研究事業や研究者が少なくなっていたことなどが、COVID-19 ワクチンの迅速な開発につながらなかったという指摘があった。さらに、日本が欧米に比してワクチン開発が遅れた原因として、アカデミア及び医療現場、産業界、政府における様々な課題が指摘された。
 
  • 五輪開催中の東京で「命の選別」せざるを得ない事態も 西浦博さんが分析する医療崩壊のリスク
    開催に向かって突き進む東京五輪。理論疫学者の西浦博さんは、変異ウイルスの分析や大流行を経験した大阪のデータから、東京も医療崩壊が起きる可能性を指摘します。私たちは「命の選別」をせざるを得なくなるのでしょうか?  BuzzFeed News 2021/06/27 2:01:27 GMT
    • BuzzFeed Japan Medicalは、京都大学大学院医学研究科教授の理論疫学者、西浦博さんに再びインタビューした。※インタビューは6月25日夜にZoomで行い、その後もやり取りして書いている。
    • デルタ株の感染力は1.95倍に上方修正
      • 前に出した予測では従来株の1.78倍高いとしていましたが、今回は約1.95倍という結果が出たのです。
    • 振り返ると、2020年3月上旬までは中国の武漢由来の株が中心でした。その後、ヨーロッパで流行したものが、帰国者や旅行者によって持ち込まれて、ヨーロッパ株で第1波の流行が起きました。置き換わらないようにするには、2つの方法しかありません。
      • 1つは、空港の検疫での水際対策を厳しくし、入国制限や渡航禁止勧告によって国際的な往来のボリュームを減らすしかない。そうして侵入を防ぐ方法が1つ目です。
      • もう1つは、オーストラリアのように感染者の母数を減らして、感染者をほぼ全て把握し、接触者を追跡しながら国内での流行を封じ込める方法があります。
    • 日本は侵入予防も封じ込め対策もいずれもできませんでした。中途半端な対応をすると経済も苦しみながら侵入も防げないということになってしまう。残念ながら日本はそうなっています。
    • 7/12にDelta㈱が半数を超え、オリンピック開幕の7月23日時点でデルタ株は68.9%を占める。
      • 現時点でも言えることは、五輪云々の前に、とても悪いタイミングで国内の流行状況が既に悪化してきている中、開会式を迎えざるを得ないということです。
    • 日本における新型コロナの重症患者というのは、気管内挿管をされて人工呼吸器をつけられているか、ICU(集中治療室)かHCU(高度治療室)に入院して集中治療(全身管理)を必要としている人を指します(大阪の場合はICUだけカウントしています)。
    • 70代、80代になるとこの傾向はもっとはっきりしてきます。つまり変異ウイルスの影響で重症化率は1回増えるのですが、医療が逼迫するとそれが下がる。何が起きたのでしょうか? 実は、これは重症患者の定義に関係しています。
      • 大阪では4月に病床が相当埋まってしまいました。それぞれの病院で使える人工呼吸器の台数には限度があります。1つの病院内で、使用していない(待機状態にある)人工呼吸器が残り2人分、残り1人分のように希少になった時、現場の判断で特に高齢者の人たちは気管内挿管しなかった。それを反映した推定値を示しているものと考えています。
      • 本当なら重症患者の定義を満たしそうな方が、人工呼吸器をつけるなどの処置ができないために重症患者としてカウントされなかったということです。他の通常医療も提供できなかったことでしょう。
        要するに、医療崩壊してしまったのです。
      • 大阪では4月に跳ね上がっています。そして大阪の致死率は東京の3倍近くになっています。東京は流行しても医療のキャパシティの範囲内で病床が足りたので持ちこたえました。
      • つまり、英国由来のアルファ株で流行が起きたとしても、医療の範囲内で診ることができたら、致死率は従来株から格段に上がるというわけではなさそうなのです。でも医療が崩壊してしまうと、積極的な治療が受けられなくなり死亡リスクが上がってしまう。
    • 人工呼吸器はハードだけでなく、ソフトも揃えるのが相当難しいです。
      人工呼吸器を使用可能な受け入れ病院が全医療機関の25%くらいとされています。それらの受け入れ病院内で人工呼吸器を使いこなせる医師は、集中治療医学や麻酔科・救急医学のような専門の方に加えて、あとは外科・呼吸器内科など、ごく一部に限られます。管理する看護師も特別な訓練を受けなければいけません。すぐ増やすことはできません。限界があるのです。
    • このデータでわかるのは、許容範囲の感染規模というものがやはりあって、それを超えてしまうと致死率は上がらざるを得ないということです。だから感染者数を一定レベル以上に増やしてはいけないのです。
    • 今回、さらに背中が寒くなるのは、これよりもさらに規模の大きな流行が起きると、さらに致死率が上がるだろうということです。患者数が医療のキャパシティを超えてしまうと、その後はハイリスクな感染者が増えれば増えるほど、重症化するにもかかわらず積極的治療のできない人が増えると考えられるためです。
       
  • 「東京五輪の中止を求めないという選択は正解だった」逃げ続ける政治に専門家が突きつけたメッセージ 
    専門家が有志の会として五輪のリスク評価に関する独自の提言を発表したことは正解だったのか。提言を受け、政治は何をすべきか。東京大学教授の牧原出さんに聞く 公開 2021年6月25日
    • 行政学が専門の政治学者で東京大学先端科学技術研究センター教授の牧原出さんは根本的な課題として「政治が責任を負う姿勢を見せないこと」があると指摘する。
    • 政治家は自己正当化と見せかけて、他の誰かへと責任転嫁し続けている。そんな中で、専門家たちは責任を背負いながら、有志の会として提言を出しました。専門家は提言を出す上で自分たちの役割はリスク評価をすることだと宣言し、決めるのは政治の責任だとはっきりと言いました。あのメッセージは非常に強烈で、政治は逃げられなくなったと言えるでしょう」
    • 「専門家が政治的な傷を負わない形で五輪に関する提言を出したこと」は評価できると牧原さんは強調した。
    • 「政治が専門家の提言をすべて取り入れる必要はありません。ただし、取り入れないのであれば取り入れないなりの理屈が必要です。しかし、政府は合理的な説明をしないまま、パンデミックでの五輪開催に突入しようとしています。それは、多大な被害を伴う可能性をはらんだ壮大な社会実験となるでしょう」
    • 「ある部分では犠牲を伴うとしても、公共善のために意思決定をするというのが政治の役割です。近年の政治家は肝心な意思決定については曖昧にしたがりますが、最後の最後まで今夏の五輪開催にこだわるのであれば、その理由を合理的に説明して、説得しようとする試みが必要なはずです。そういった姿勢があれば、様々な論議を呼んだでしょうが、開催への支持はもっと増えただろうと思います」
 
  • 第2回 マスクを外すタイミングと、そのために必要なアクションとは何か pwc 2021-06-23
    【前編】 【後編】
    • イスラエルで屋外でのマスクフリーが許可された際、ワクチンを2回接種した人の割合(完全接種率)は57.52%*11に到達しており、英国で学校内でのマスクフリーが許可された時の接種率は30.27%*11、米国でワクチン接種完了者のマスクフリーが許可された時の接種率は35.96%でした*11。ある程度接種率が高まると、「マスクフリー社会」へ回帰していくことが想定されます。
    • イスラエルでは屋外に限られているものの、マスク着用義務が国内全域で解除されており、実際に国民もマスクを外すことができています。イスラエルの例をベンチマークとすると、日本では全人口のワクチン接種完了者率が57.5%に達したころに、「マスクフリー社会」に回帰すると予測できます。
    • 両国共にワクチン接種の対象者は16歳以上に限定されていますが、イスラエルの「完全接種率57.5%」は全人口に対する比率です。そのため、日本の接種対象者に換算すると、日本の16歳以上の人口は全人口の87.0%であることから、対象者の66.1%が接種したタイミングで、全人口あたりの接種率は57.5%に到達します。
    • ワクチン接種率という観点に限れば、遅くとも2022年1月ごろにはイスラエルと同様に屋外でのマスク着用義務が解除され、「マスクフリー社会」への回帰が進む可能性があると言えるでしょう。
    • PwCは「マスクフリー社会」への回帰に向けてはさらに一歩踏み込み、この「段階的な回帰」に加えて、国民の「論理的納得感」と「実践的納得感」という「2つの納得感」を向上させることがカギとなると思案しています。
    • 「理論的納得感」と「実践的納得感」の向上には「リスクとベネフィットを踏まえた複数プレイヤーでの議論」「方針の共有と目標の設定」「各々の強みを生かすアプローチの検討」「計画の発信」「モニタリング」「進捗の連携」が重要と考えます。
    • 同じ目標に向かい、複数のプレイヤーが協働し、定性・定量の両面で検討を進め、市民を巻き込んだ課題解決を行うことは、社会課題解決に欠かせない「コレクティブ・インパクト・アプローチ(Collective Impact Approach)」の実践と言えるでしょう。
 
  • 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う新型コロナウイルス感染拡大リスクに関する提言 コロナ専門家有志の会 2021/06/18 20:07  PDF版
    • 2021年6月18日、政府の新型コロナウイルス感染症対策に助言をしてきた尾身茂氏ら感染症の専門家有志が、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会、政府等に、大会開催に伴う感染拡大及び医療逼迫を招かないための提言書を提出しました。
    • より多くの方に知っていただき、共に考えていただきたいとの思いから、会見時に準備した資料と提言書本文をnoteとして公表いたします。ノーカット映像も併せてご覧ください。
    • 骨子
      • 1. 多くの地域で緊急事態宣言が解除される6月20日以降、東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、本大会)期間中を含め、ワクチンの効果で重症者の抑制が期待できるようになるまでの間、感染拡大及び医療逼迫を招かないようにする必要がある。ワクチン接種が順調に進んだとしても、7月から8月にかけて感染者および重症者の再増加がみられる可能性がある。また、変異株の影響も想定する必要がある。
      • 2. 本大会は、その規模や社会的注目度が通常のスポーツイベントとは別格であるうえに、開催期間が夏休みやお盆と重なるため、大会開催を契機とした、全国各地での人流・接触機会の増大による感染拡大や医療逼迫のリスクがある。
      • 3. 観客の収容方法等によっては、テレビ等で観戦する全国の人々にとって、「感染対策を緩めても良い」という矛盾したメッセージになるリスクが発生する。大会主催者におかれては、このことを十分に考慮して、観客数等を決定して頂きたい。
      • 4. 無観客開催は、会場内の感染拡大リスクが最も低いので、望ましいと考える。もし観客を収容するのであれば、以下の3つの点を考慮いただきたい。
         イ) 観客数について、現行の大規模イベント開催基準よりも厳しい基準の採用
         ロ) 観客は、都道府県を越えた人々の人流・接触機会を抑制するために、開催地の人に限ること、さ らに移動経路を含めて感染対策ができるような人々に限ること
         ハ) 感染拡大・医療逼迫の予兆が探知される場合には、事態が深刻化しないように時機を逸しないで無観客とすること
      • 5. 大会主催者は行政機関とも連携し、不特定多数が集まる応援イベント等の中止と飲食店等での大人数の応援自粛の要請と同時に、様々な最新技術を駆使した「パンデミック下のスポーツ観戦と応援のスタイル」を日本から提唱して頂きたい。
      • 6. 政府は、感染拡大や医療の逼迫の予兆が察知された場合には、たとえ開催中であっても、躊躇せずに必要な対策(緊急事態宣言の発出等)を取れるように準備し、タイミングを逃さずに実行して頂きたい。
      • 7. 大会主催者及び政府は、これまで述べてきたリスクをどう認識し、いかに軽減するのか、そして、どのような状況になれば強い措置を講じるのか等に関する考え方を、早急に市民に知らせ、納得を得るようにして頂きたい。
      • 8. 大会主催者は、本見解の内容をIOC(国際オリンピック委員会)・IPC(国際パラリンピック委員会)にも伝えて頂きたい。
      • ​関連:「歴史の審判に耐えられるようにすべきだ」五輪のリスク評価発表へ、専門家は模索を続けた… メンバーが明かす舞台裏。なぜ、政府の新型コロナ分科会としてではなく有志での発表となったのか。提言発表に向けて、何が起きていたのか。有志の独自提言発表をサポートした東京大学医科学研究所教授の武藤香織さんに聞く。2021/06/26 21:31:08 GMT BuzzFeed News
  • コロナ禍からの復興:科学だけでは足りない Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 6 | doi : 10.1038/ndigest.2021.210618 原文:Nature (2021-03-21) | doi: 10.1038/d41586-021-00731-7 | COVID-19 recovery: science isn’t enough to save us Hetan Shah
    • パンデミックと戦うには、政策立案者は、STEM分野だけでなく、人文科学や社会科学の学者の助言にも耳を傾ける必要がある。重要なのは、コロナ禍からの復興の支援にどのような人々が必要とされたかという点だ。各国政府はパンデミック(世界的流行)の発生当初から専門家に助言を求めていたが、その相手はSTEM分野(科学、技術、工学、数学)の専門家が多かった。効果的な対応には人々の行動、モチベーション、文化がカギになることは当初から明らかだったにもかかわらず、例えば英国では、緊急時科学諮問グループ(Scientific Advisory Group for Emergencies;SAGE)の80人以上のメンバーのうち、社会科学者は限られた分野の代表しかおらず、人文科学者を代表するメンバーは1人しかいない。
    • ワクチンを作ってくれたのは科学だが、ワクチン接種への躊躇などの社会的現実(social reality)を理解するには、SHAPE分野(人々と経済のための社会科学、人文科学、および芸術)の知見が助けになる。STEMとSHAPEが手を組むことで、人類の洞察力はより強固なものになるのだ。
      「疫病は生物的現象であると同時に社会的現象でもある」
    • 政府は、SHAPEの研究対象である「現実」を直視する必要がある。パンデミックによって、社会にある断絶が露呈した。COVID-19は、以前からあった不平等を眼前に突き付け、悪化させ、強固なものにした。こうした不平等の原因と、それを是正する最善の方法を明らかにするためには、健康と社会のデータをしっかりと結び付ける必要がある。事態に適切に対応するためには、SHAPE分野のデータとエビデンスを活用する必要がある。
 
  • 米がコロナ治療薬の開発強化、3500億円投入…年内の実用化目指す 2021/06/18 16:11 読売新聞オンライン
    • 米ホワイトハウスは17日、新型コロナウイルスの治療薬の開発強化に乗り出すと発表した。発症を防ぐワクチンの開発と普及に一定のメドがつき、今後は感染者の治療の拡充を図る。開発費などに32億ドル(約3500億円)を投入し、年内の実用化を目指す。
    • バイデン政権はこうした治療薬候補の実用化をさらに加速させるため、製薬企業や研究機関に対し、臨床試験の費用約10億ドルや薬の製造費約7億ドルなどを配分する。
    • 政権が特に重視するのが、摂取や保管が容易な経口タイプの治療薬だ。今月9日には今回の計画の一環として、米製薬大手メルクが開発中の経口薬「モルヌピラビル」170万回分を、当局の承認を前提に12億ドルで購入すると発表した。保健福祉省は「感染の初期段階で自宅で摂取できる経口薬があれば、国内外で多くの命を救うことができる」と意義を強調する。
      • コロナ治療薬を巡っては、昨年10月に米当局が抗ウイルス薬「レムデシビル」を正式承認した。ただ、世界保健機関(WHO)は治療効果がないとして利用を推奨しないとの指針を示している。
    • 日本では、厚生労働省が治療薬の開発を急ぐため、臨床試験の費用などとして、複数の製薬企業にそれぞれ数億円規模の補助を実施する方針だ。現在、複数社と大学が治療薬の研究開発に取り組む。「中外製薬」(本社・東京)は今年3月、抗体を使った薬について国内で臨床試験を始めた。海外では軽症者らの入院や死亡のリスクを7割減らす結果が出ており、年内の承認申請を目指す。
    • 北里研究所は、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授が開発に貢献した抗寄生虫薬「イベルメクチン」について、新型コロナ治療に使えるよう、医師主導治験を行っている。
 
  • 新型コロナ「本当の死者数」がわかる日はいつ来るのか 各国の公式発表とWHOの統計に120万のずれ、カギは超過死亡数の標準化 2021.06.17 NATIONAL GEOGRAPHIC
    • WHOが2019年に実施したアセスメントでは、世界の国々の約3分の2が、出生と死亡の数を記録するためのきちんとした市民登録および人口動態統計システムを持っていないことが判明している。
    • こうした格差が、新型コロナ感染症をめぐる状況に重大な影響をもたらしている。5月21日にWHOが発表した「世界保健統計報告」では、新型コロナウイルスに直接的・間接的に起因する死者数は300万人とされている。この数字は、各国が公式に報告してWHOが集計した数字より120万人多い。
    • パンデミックの初期には、新型コロナの死者数を示す方法が各国で統一されておらず、それが過少報告につながった。そのため、実際の死者数をより正確に把握しようと、人口統計学者、報道関係者、経済学者などが追跡方法を開発し、それぞれが異なる角度からこの問題に取り組んだ。
    • カーリンスキー氏は、エルサレムにあるヘブライ大学の大学院生で、シンクタンク「コヘレト政策フォーラム」に所属する経済学者でもある。氏は、国や地域の統計局、さまざまな国でこの問題に取り組んでいる研究者にメールを送り、各国から独自にデータを収集し始めた。
    • 2021年1月には、ドイツ、テュービンゲン大学の研究者ドミトリ・コバク氏との共同研究を開始した。こうした活動から、95の国と地域の情報を含む「世界死者数データセット」が生み出された。『エコノミスト』紙はそれ以降、このデータセットを用いて、新型コロナによる世界の死者数を独自に算出している。カーリンスキー氏の功績を認めたWHOは、パンデミックによる世界の死者数をマッピングすることを目指す技術諮問グループの一員として氏を招聘した。
    • 死因のデータが存在しないときにコロナの死者数を把握する手立てのひとつは、超過死亡数だ。この数字は、人口増加を調整した後の平均的な年の死亡数と、パンデミックなどの例外的な状況があった年の死亡数との差を表している。
    • 本当の死者数を把握することは、最終的に、感染致命割合(全感染者のうちコロナによって死亡した人の割合、IFR)を割り出すうえで役立つ。この数値は、パンデミック初期において、もし公衆衛生上の制限が行われず、ウイルスが集団の中で自由に拡散した場合、どれだけ深刻な影響を及ぼすかを理解するうえで非常に重要だった。(参考記事:「新型コロナ、2つの致命割合CFRとIFRとは」)「しかしながら、本当の死者数がわからなければ、正確に推測することは非常に困難です」とワトソン氏は言う。
    • 2021年11月までに、WHOは超過死亡数の算出方法を標準化し、どのようなデータを使用すべきかを決定し、すべての国の推計値を見直し、その後、各国政府の代表者と協議することを目指している。
 
  • コロナで遅れた国産ワクチン開発、体制整備の柱「デュアルユース」確立なるか 日刊工業新聞2021年6月14日 2021年06月15日 ニュースイッチ
    • 国産ワクチンの開発・生産体制の強化に向けて、1日に閣議決定した省庁横断型の国家プロジェクト「ワクチン開発・生産体制強化戦略」が始動した。新型コロナウイルスのワクチン開発では米英に出遅れた反省を踏まえ、平時からの長期継続的な取り組みを重視する。基礎研究から産業の育成・振興までの流れを見直し、政府一体で必要な体制を再構築する。
    • 政府は新たな感染症の発生を想定し、国内での中長期的なワクチン供給体制を構築する検討に乗り出した。柱となるのが平時の人員や設備で有事に対応する「デュアルユース」の確立だ。メッセンジャーリボ核酸(mRNA)原薬や遺伝子組み換えたんぱく質などバイオ医薬品関連の製造ラインを、有事にワクチン製造へ切り替える体制を描く。
    • 2009年に新型インフルエンザが流行した際、国内のワクチン供給体制を確立するため補助を通じてメーカーの拠点整備を進めた。ただ、巨額の初期投資や収束後の維持管理費用が経営の重荷となった。拡大が続くバイオ医薬品のラインを有事に転用することで、平時の負担軽減につなげる。
    • 日本の課題は治験に不可欠な生物統計家の不足が深刻なこと。年約1000人を育てる米国に対し、日本は年20―30人。雲泥の差を埋めるには、育成を急ぐ必要がある。さらに、日本発の国際共同治験を考えるなら、アジアにも治験網を広げる必要がある。開発に向け、外務省など「各省庁と連携し、環境整備に力を注ぐ」(田村憲久厚労相)という。
 
  • コロナ対応策と資金フロー 研究レポート 1726号(2021年6月)公財日本証券経済研究所
    • コロナ対策に必要だった資金はほとんどが、 短期国債の発行によって賄われている。
    • マイナス金利政策を含む超低金利政策がとられると、日本の投資家はドル他の高利回り資産を求めてドルを調達することになり、それがドルを原資産とする投資家にマイナスコストでの円調達を可能とし、リスクフリーの円建て資産として短期国債への需要を高めているのである。
    • 短期国債の純発行額は六八兆円だったが、その消化先の内訳は、海外投資家一〇兆円、日銀三三兆円、銀行二五兆円、その他一兆円である。日銀は、先に述べたように、この期間、長期国債のほぼ倍の短期国債を買っており、市場環境を維持する目的があったものと思われる。
 
  • ワクチンだけじゃない!日本で「抗原検査キット」の活用が遅れる呆れた理由 窪田順生:ノンフィクションライター 2021.6.10 4:20 DIAMOND omline
    • 参加者に抗原検査キットを配布したイベント運営をサポートする「医療科学を用いた経済活動継続のための検査研究コンソーシアム」という取り組みがある。
      • 「医療科学を用いた経済活動継続のための検査研究コンソーシアム」で用いている米アボットの抗原検査キット「PanbioTM COVID-19 Antigen ラピッド テスト」はPCR検査との陽性一致率91%以上、陰性一致率99%以上。厚生労働省から保険適用も受けている。
      • 検査は本当に簡単で、綿棒を鼻の穴の入り口近くで回転させて粘液を取り、検査液が入ったチューブに入れる。そしてこのチューブから検査液を、カセットに数適たらす。10分ほどすると線が浮かび上がってくる。1本だと陰性。2本だと陽性だ。筆者も実際にこの「PanbioTM COVID-19 Antigen ラピッド テスト」で検査をしてみたが、あっという間にできてしまった。コンサートやライブ会場の入場経路で行うようにすれば、列に並んでいる時間でできてしまうレベルだ。
      • 例えば6月3日から6日の間に開催された日本ゴルフツアー選手権森ビル杯は、2020ー2021シーズンでは国内ゴルフ大会では初となる一般ギャラリーの観戦をおこなった大会だったのだが、それを可能としたのは抗原検査キットである。ギャラリーは全入場者を自家用車に限定。入場する際に抗原検査キットをドライブスルー方式で渡し、各自が車内で検査をする。そこで陰性だった人だけが車を降りてコース内へと入場できるという仕組みだったのだ。
    • 今年3月に日本医師会が全国の医師会に出した「新型コロナウイルス感染症の研究用抗原検査キットに係る留意事項について」という通達の中にそれがあるので引用しよう。
      <発熱等の症状の無い方が、同感染症に関する検査の受検を希望する場合は、自費検査を提供する医療機関を受診するか、提携医療機関を有する自費検査提供機関において受検すること>
    • とにかく「検査」は医療機関へというわけだ。これを四角四面に受け取ってきっちりと守るとなると、先ほどの米アボットのもののように「精度が高く保険適用されている抗原検査キット」であっても、全国民に無料で配布するとか、入場チケットにつけて配布するというのはかなり「グレー」な話になってしまう。実際、「医療科学を用いた経済活動継続のための検査研究コンソーシアム」で提供しているアボットの抗原検査キットはあくまで「医師主導治験」での使用という位置付けだ。
      <医師主導の臨床研究で、医療者と使い方の説明を受けた一般の方との相関実験を行い、一般の方でも医療者と同等に検査可能という結果になりました>(医療科学を用いた経済活動継続のための検査研究コンソーシアムHP)
    • 「独特すぎる医療体制」が招いたシステムエラーである。海外では誰もが気軽に検査でき、感染拡大防止に大いに役立てられている「抗原検査キット」がいまだに「精度の低い怪しいもの」という汚名を着せられ、普及がまったくといっていいほど進んでいないのも、そんなシステムエラーが起きていることの証左である。
 
  • 新型コロナ感染後の免疫、少なくとも1年は持続か June 9, 2021 HealthDay
    • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)回復後に再感染する可能性は非常に低いとする研究結果が報告された。パンデミックの初期に大きな打撃を受けたイタリア北部の住民の医療データを基にした研究から、COVID-19に罹患することで獲得した免疫は、少なくとも1年間は持続する可能性のあることが明らかになった。Ospedale G. Fornaroli(イタリア)のNicola Mumoli氏らが実施したこの研究は、「JAMA Internal Medicine」に5月28日掲載された。
      • 再感染とは、初感染と再感染の間に受けたRT-PCR検査で連続2回以上の陰性判定を受けており、初感染からの回復後90日以上の間隔を置いた検査で再び陽性判定を受けた場合と定義された。
      • 総計1万5,075人の対象者(年齢中央値59歳)のうち、試験開始時に1万3,496人が新型コロナウイルス陰性(陰性群)、1,579人が陽性(陽性群)と判定されていた。中央値で280日の追跡期間中に、陽性群では5人(0.31%)で再感染が確認された。これら5人の再感染者のうちの4人は、病院勤務者や輸血のための通院者など、新型コロナウイルスに曝露する可能性が極めて高かったという。また、初感染から再感染までの間隔は、平均で230日以上と長いことも明らかになった。これに対して陰性群では、追跡期間中に528人(3.9%)で初感染が確認された。
    • こうした結果を受けてMumoli氏らは、「新型コロナウイルスへの感染により獲得した免疫は、少なくとも1年間は持続するようだ。この結果は、最近報告された、COVID-19のワクチンによる防御効果と同程度のものだと言える」と述べている。
    • 米NYC Health and HospitalsのMitchell Katz氏は、「心強い結果ではあるが、それでも、既感染者もCOVID-19のワクチン接種は受けるべきだ」と主張する。その理由として同氏は、「まず、COVID-19罹患により獲得した野生型の新型コロナウイルスに対する免疫がどのくらい持続するのかが不明だ。また、獲得した免疫が、新型コロナウイルスの変異株に対してどの程度有効であるのかも分かっていない。さらに、全ての人がワクチン接種を受けることで、より広範な社会的ベネフィットが得られる」としている。歴史的に見て、人類が唯一根絶に成功した感染症は天然痘だが、これは、自然感染ではなくワクチン接種による免疫獲得によりなされたものだ」と説明している。
    • この研究は、新型コロナウイルスの変異株が広がりを見せる前に実施されたものであるため、野生型のウイルスに対して獲得した免疫の変異株に対する有効性が不明である点に懸念を示している。
  • 「免疫の多様性」に鍵 日本発・新次元ワクチンデザインの可能性 2021/06/08 18:30 FORBES JAPAN
    • 一年遅れの日本の治験 今後は?
      • 7、8年前からRNAワクチンの共同研究をしていましたが、2018年には政府から臨床試験のための予算をカットされ、今回のパンデミック前には治験まで進めることはできませんでした。ですが、研究自体は細々と続けてきたので、去年3月から日本の医学研究ファンドからサポートを受け、第一三共と東大医科学研究所で新型コロナワクチン開発を進めています。
      • 去年は世界のメガファーマが治験を進めてきましたが、日本の現状は一年遅れの状況です。6月1日には閣議決定で政府が国産ワクチン開発から生産、買取りまでフルサポートをすることになったので、各メーカーがより速く進められることを期待しています。
      • 国産ワクチンが必要な背景と、今後超えていくべき課題とは。ひとつは、国産ワクチンはパンデミックにおいて自国民を守る、国防につながるという意味があるということ。今回、そのリスクが露呈しましたが、国内で安全なワクチンが提供できる環境は必須だと考えます。2つ目は、日本国内ではワクチンのマーケットは小さいですが、今回、中国やロシアなど世界の動向を見ると外交のツールになるということが認識されました。これまで日本では輸出しようと考えていませんでした。えぐい外交ツールではなく、ピュアな国際貢献のツールとして世界の健康を守り、公衆衛生を保つため輸出国になり得るのです。最近では製薬企業や行政機関にもこの考え方に賛同する人が増えてきたと感じます。
    • MERS対策の「模擬ワクチン」 モデルナ、がん治療に切り替えが奏功
      • 2016年から石井教授が展開された「モックアップワクチンプロジェクト」について教えてください。12年から中東地域やヨーロッパ、アジアで流行ったMERS(中東呼吸器症候群)対策として各国で模擬ワクチンの開発研究がされていましたが、ご存知の通りMERSは韓国でアウトブレイクして、日本までは感染拡大しませんでした。そこで国内でその必要性が薄れてしまいました。一方、モデルナなどはMERS対策からがん治療のワクチンに切り替えて開発し、コロナ以前にRNAワクチンの治験まで進めていました。
      • あの頃、パンデミックの可能性と模擬ワクチンの必要性について、政府や製薬会社などに提言しましたが、私自身ベンチャー企業を率いているわけでもなく、人生をかけて駆け回って資金をかき集めることはしませんでした。ややもすると、そう叫び続けるのはオオカミ少年になりかねません。AMED(日本医療研究開発機構)から研究費を得て、私たちは第一三共とともに細々と研究を進めてきましたが、臨床試験までできなかったことは今となっては残念に思います。犯人探しをするなら、真犯人は私だと思っています。
      • ワクチンと一緒に投与される物質「アジュバント」の研究も進めていますが、その利点と可能性とはなんでしょうか。RNAワクチンは、DNAやRNA配列が分からなくてはつくることができません。アジュバントは、それらが分からなくてもつくることができる、新しいタイプの免疫活性剤です。mRNAワクチンの場合、脂質ナノ粒子(LNP)がアジュバントになります。基本的には、ワクチンの効果を高めるためワクチンに混ぜて使われていますが、自らの免疫を上げる効果も期待できます。感染症のワクチンのほか、動脈硬化やアレルギーなどに対するワクチンや治療薬としても期待されています。すでにがん治療の分野では、手術したがん細胞から抗原の遺伝子を生成し、患者さんに合った免疫をつくるため、がんサバイバーの予防ワクチンは海外では盛んに臨床試験がされています。
      • 今後の鍵は「ヒト免疫の多様性の理解とワクチン設計」とは、どういう意味でしょうか。ヒトの遺伝子とヒト免疫には歴史があります。遺伝子と免疫細胞さえ調べれば、どんな場所に住み、どんな感染症にかかったか、その人の歴史をひとつひとつ紐解く技術を研究しています。それが分かれば、個人の免疫システムに合ったワクチンや免疫療法を開発できます。このような「免疫アジュバントとしても何百種類の物質があり、サイズや色を揃えてセミオーダーでき、個人に合ったレシピを提供できるイメージです。フルオーダーの場合、個人の遺伝子を採取して、例えばがんリスクを把握し、予防ワクチンを製造すること。数十万、数百万円かかるかもしれませんが、がんの場合、前述のように現実味を帯びてきています。
    • 異分野連携で「破壊的イノベーション」が生まれる素地
      • これからはワクチンも、飛行機やロケットづくりと同様にチームを作って開発研究を迅速に進められる体制づくりが必要だと痛感しています。感染症や病気によって、各研究分野の「技術屋」が集結できることが重要です。日本のワクチン開発は、このような形で行われておらず、現状は「和菓子屋さんにスイーツを作れ。同じようなものだからできるんでしょ」と言っているようなものです。
      • 今回、GSK(英:グラクソ・スミスクライン)、メルク(独)、サノフィ(仏)など製薬大手がベンチャー企業に負けて、新型コロナワクチンの開発を中止もしくは中断しています。組織が大きすぎると迅速に動けない「大企業病」が噴出しています。
      • 一方、日本ではアンジェスがDNAプラットフォームを使って遺伝子治療していたところから、いちはやく新型コロナワクチンの治験に入ることができました。ファイザーとコロナワクチンを共同開発したドイツのビオンテックも、がんワクチンの研究から切り替えて世界に新型コロナRNAワクチンを輸出しています。
      • 別分野から、破壊的イノベーションが生まれているのです。デザインチームをつくることで、ワクチン開発がどう変わるか、これから楽しみです。
      • ウイルスや細菌、寄生虫などの研究者は日本ではマニアックと言われますが、「いま役にたつか」という切り口で研究を評価してはいけません。そういった研究者がたくさんいるのが豊かな文化の源泉で、自由な研究の裾野を広げ、イノベーションを生み出していくのです。無駄は生まれるかもしれないけれど、真のセレンディピティは無駄から生まれるものです。
    • 日本は免疫学、ゲノム医学に強み ベストなワクチンを瞬時につくる
      • 日本の研究で強い領域は、免疫学、ゲノム医学などがあります。そこに、AIテクノロジーの分野が集結して、ワクチンをつくっていくことで可能性が広がります。
      • 新次元ワクチンは、クルマや電化製品と一緒で、ワクチンもモジュール化してバラバラにして用意しておき、ベストなワクチンを瞬間的につくるシステムづくりと言えます。すでに研究者同士では国内外関係なく、オンラインでつながり、パーツやモジュールづくりを進めています。
      • これが国家間の研究開発となると、ハードルが高くなるのでワクチン開発のグローバルアライアンスが必要です。新次元ワクチンデザインは、オールジャパンでやるのではなく、欧米だけでなくアジアや中東などにも目を向け、日本がリーダーシップを取ってグローバルネットワークづくりができれば、パンデミックのような危機的状況の時に原料の確保から研究開発まで一気に進めて迅速に対応できるでしょう。
 
  • 野大臣に見る、平和ボケが生んだ日本のワクチン敗戦 2021.06.07 AGORA
    • DARPA(米国防総省の研究機関「国防高等研究計画局」)がワクチン開発を目標にし始めたのは、冷戦後の安全保障環境の変化が背景にあった。冷戦期は核兵器が最も重大な脅威であったが、冷戦後はより安価で簡単に製造できる化学兵器や生物兵器の方が深刻な脅威とみなされるようになった。(中略)こうしてDARPAは通常では考えられない短期間でのワクチンの開発を目指した。(中略)モデルナがコロナウイルスのワクチン開発で先行する企業の一つになるという成果を生んだ。
    • (塚本勝也・防衛研究所室長「ワクチン開発に貢献した米軍事研究機関」)
      米軍が果たした役割は、単なる資金提供だけではない。米国防総省はモデルナに加え、ファイザーのワクチンについても、国内外の輸送作戦を主導している。
    • 米軍の最高指揮官たるバイデン大統領自身が、「モデルナとファイザーの両社が予定より速いペースでワクチンを米国に追加供給することに同意したのは、米国防生産法(DPA)の発動を受けたものだ」と明かしている。
    • この米国防生産法は、民間企業の生産活動を大統領権限で命令できる法律で、1950年の朝鮮戦争下に成立した。元々は軍需物資調達を目的とした同法律を活用して、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチン生産を加速するため、米製薬大手メルクと協力させ、メルクの工場をJ&Jのワクチン生産に転用させた。こうした一連の措置により、J&Jは24時間態勢でワクチンを生産できるようになったという。
    • 驚異的なスピードでワクチン接種に成功したのも、米軍が「ワープ・スピード作戦」(OWS)を主導した成果である。先のモデルナやJ&Jに加えて、アストラゼネカも、この作戦の恩恵を受けた。
    • 国防総省の公式サイトが明記するとおり、「ワープ・スピード作戦は、連邦政府と民間のリソース(資源)を活用して、安全で効果的なワクチンや治療薬などの治験や供給、開発、配布を促進する」。米陸軍のギュスターブ・ペルナ大将が作戦の責任者として、疾病対策センター(CDC)や保健福祉省(HHS)などの関連省庁を束ねる。まさに、連邦政府と軍産学が一体となった作戦である。
 
  • 新型コロナの起源、WHO報告書の4つの可能性を再検証 野生動物による感染から流出説まで、米バイデン政権が詳しい調査を指示 2021.06.07 NATIONAL GEOGRAPHIC
    • 米バイデン政権は5月26日、国内の情報機関に対し、動物からの感染から新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含む野生由来のサンプルを研究していた実験室からの流出した可能性まで含めて、経路をより詳しく調べるように指示した。
    • 研究所流出説が再び注目を集めるいま、WHOの報告書で示された4つの説に関する証拠と、新型コロナウイルスの起源として専門家がそれらをどう捉えているかをあらためて見てみよう。
    • 1. 自然宿主である動物から直接ヒトへ感染した WHOの評価:「可能性がある~可能性が高い」
      1つ目の説は単純で、新型コロナウイルスが動物(おそらくコウモリ)において発生し、それが人間と接触して感染、人間の間で広がり始めた、というものだ。
    • 2. 中間宿主の動物を介して人間へ WHOの評価:「可能性が高い~非常に可能性が高い」
      コウモリが直接人間に新型コロナウイルスを感染させた決定的な証拠がないため、最初にミンクやセンザンコウなどの別の動物を介して感染したとの説がより有力だと科学者たちは考えている。しかし、この説が成り立つとしても、中間宿主である動物が何であったかは明らかになっていない。
    • 3. 冷蔵・冷凍食品からの侵入 WHOによる評価:「可能性がある」
      ウイルスがコールドチェーンと呼ばれる冷凍・冷蔵食品の流通経路を経由して人間に持ち込まれたというものだ。新型コロナウイルスが中国以外の国で発生し、食品パッケージの表面または食品自体に付着して輸入された、とする説だ。しかし、コールドチェーンが新たな流行の発生に一役買った可能性はあるものの、パンデミックの起源がコールドチェーンにあると考える根拠はほとんどない、と科学者たちはみる。
    • 4. 研究所からの流出 WHOによる評価:「極めて可能性が低い」
      新型コロナウイルスの起源に関して最も議論を呼んでいる仮説は、コウモリのコロナウイルスを研究している武漢の研究所からウイルスが漏れたというものだ。現段階では、流出事故説を支持する証拠、否定する証拠のいずれも十分でないと科学者たちは指摘している。流出事故説には、研究者が実験室で誤って感染したというものと、研究者がSARS-CoV-2の系統を人工的に作りだしていたという2つのバージョンがある。
    • ゲノム調査が示すように、このウイルスがそもそも多くの動物の種に感染するものであれば、人間への感染が非常に効率的に起こっていることは驚くに値しない、と同氏は言う。「人間に感染するために、大きく変化する必要はなかったということだと考えられます」
 
 
  • ワクチン接種の遅れが日本にもたらす「決定的な格差」の正体 加谷珪一:経済評論家 DOL特別レポート 2021.6.4 5:00 DIAMOND online
    • 政府による宣言発出の影響は大きいだろうが、必ずしもそれだけが景気低迷の原因とはいえない。その理由は、前回(2021年1月)の緊急事態宣言も、今回の緊急事態宣言も、政府が現実の感染状況を後追いしているだけであり、宣言が発出される前から人出が減っているからである。つまり、政府よりも国民の方が事態の推移を冷静に受け止め、政府に先んじて行動を自粛していた可能性が高く、これが国民の総意と考えられるのだ。
    • つまり、緊急事態宣言の発出よりも国民の行動の方が先であり、コロナ感染者の数が増加したという情報を頼りに、国民が行動を自粛していることが推察される。結果として、政府の緊急事態宣言が国民行動を後追いする形になっている。
    • コロナ危機の発生は全世界的に改革を加速させる作用をもたらしており、各国の経済界はビジネスのデジタル化に邁進している状況だ。このままでは、10~15年程度の時間がかかると思われていた変化が5年程度に短縮される可能性があり、この重要な時期に日本だけが半年から1年程度、身動きが取れないことになる。
      今のタイミングが、今後10~20年の経済を決める重要な時期であるという現実について、政府のみならず国民も認識を共有する必要があるだろう。企業のデジタル化投資を前倒しで進め、諸外国との差を可能な限り縮める努力が求められる。
    • 即効性がないように思えるかもしれないが、テレワークに移行できない中小企業などを対象にIT化支援を行うなど、デジタルシフトを促進する施策を大規模に実施した方がよい。また、雇用が不安定になっていることを逆手に取り、ビジネスパーソンのスキルアップ(職業訓練)について政府が全面支援してもよいだろう。
    • 大きな打撃を受ける飲食店への直接支援と、社会のデジタル化を加速させる大規模な人的投資を同時並行で実施することこそが、ワクチン接種で遅れている日本が選択し得る、唯一の方策だと筆者は考えている。
 
  • コロナ変異株の名称をWHOが発表、ウイルス名はどう決まる? 地名を含む名称は差別を助長、科学的にも不正確、ギリシャ文字名に 021.06.03 NATIONAL GEOGRAHIC
    • 世界保健機関(WHO)は5月31日、世界中で感染拡大を助長しているコロナウイルスの主な変異株について、地名ではなくギリシャ文字のアルファベットを名称として用いると発表した。今後、英国で初めて検出された変異株B.1.1.7は「アルファ」、南アフリカで最初に確認された変異株は「ベータ」と呼ばれることになる。
    • 疾患の名称を決めるのはWHOだが、ウイルス名はウイルス学者と系統学者で構成される国際ウイルス分類委員会(ICTV)によって決定される。
    • 2020年2月、ICTVは当時2019年新型コロナウイルス(2019 novel coronavirus)と呼ばれていたウイルスをSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2の略)と改名した。米アイオワ大学の微生物学者でICTVのコロナウイルス研究会の一員でもあるスタンリー・パールマン氏によると、2003年に流行したSARSのウイルスSARS-CoVに遺伝的に近かったため、この名称を採用したという。
    • WHOは、変異株の名称を決める際のルールを定めるため、ウイルス学者や、微生物の命名に詳しい科学者を集め、「発音しやすく、特定の人々の印象を悪くしない」名称を提案するよう要請した。協議の結果、専門家はギリシャ文字のアルファベットを使用することを提案した。
    • ただし、全ての変異株を改名するのではなく、特に毒性や感染力が強く、ワクチンや治療薬が効かない恐れがある4種類の「懸念される変異株(Variants of Concern:VOC)」に対して新名称を適用する。アルファとベータのほか、ブラジルで最初に検出されたものを「ガンマ」、インドで最初に検出されたものを「デルタ」と名付けた。
    • さらに、クラスターの発生が確認されたものや複数の国で確認された6種類の「注目すべき変異株(Variants of Interest:VOI)」に関しても、「イプシロン」「ゼータ」「イータ」「シータ」「イオタ」「カッパ」と名付けた。
 
  • 「グレート・リセット」の時 2020年06月03日 Klaus Schwab Founder and Executive Chairman, World Economic Forum
    • より良い成果をもたらすには、教育から社会契約や仕事に至るまで、私たちの社会と経済のあらゆる側面を刷新するために、世界は共同で迅速に行動しなければなりません。米国から中国までのすべての国が参加し、石油やガス、ハイテク産業まで、すべての産業を変革する必要があります。私たちに今必要なのは、資本主義の「グレート・リセット」なのです。
    • 「グレート・リセット」の実現に向け重要な姿勢は3つです。ひとつ目は、より公平性のある市場を目指し、かじ取りをしていくこと。
    • 二つ目は、社会や経済が停滞する中で、システムを変革するために新しく拡張された投資プログラムを活用すること。
      • これらの資金や民間企業や年金基金からの投資を、古いシステムの亀裂を埋めるために使うのではなく、長期視点で、より弾力性があり、公平で、持続可能な新しいシステムを作るために使うべきです。これは、例えば、「グリーン」な都市インフラの構築や、環境・社会・ガバナンス(ESG)指標の実績を向上させるためのインセンティブを産業界に与えることを意味します。
    • 三つ目は、第四次産業革命のイノベーションを活用した上で、公共の利益、特に健康と社会的課題に取り組むことです。
 
  • コロナ禍の中で浸透するキャッシュレス決済 ~存在感を増すキャッシュレス決済と、衰退の動きが強まる決済手段としての現金~ 2021.06.02 第一生命経済研究所
    • 新型コロナウイルスへの感染防止を目的とした接触機会の減少を背景に、民間消費支出に占めるキャッシュレス決済の割合が増加している。
    • 感染拡大に伴う外出手控えが、EC(電子商取引)を拡大させ、その決済手段として最も利用されているクレジットカードの決済金額が大きく増加したものとみられる。
    • QRコード決済は民間消費支出に占める割合は1.1%と小さいが、事業者によるキャンペーン に加え、コロナ禍における非接触ニーズの高まりを受けて急速に浸透し、2年前と比較して10倍以上の決済額となっている。
    • 決済金額別にみると、これまで現金が大部分を占めていた少額決済の領域についても、キャッシュレス決済のウエイトが急速に高まっている。
    • コロナ禍においてキャッシュレス決済が浸透することで、少額硬貨の減少やATMの減少といった動きが勢いを強めている。
    • ポイント制度等の政策的な後押しやコロナ禍における現金忌避を背景としたキャッシュレス需要の増加は続かない。今後の更なる浸透のためには、利便性向上による利用者の拡大と繋ぎ止めが課題になる。
 
  • コロナ正常化への道筋 ~今後のロードマップを考える~ 第一生命経済研究所 2021.05.28
    • ワクチン接種が進んでいくと、その先には経済の正常化が展望できる。しかし、その正常化は一気に進むのではなく、接種状況を見ながら段階的に制限を緩和していくことになろう。そのロードマップを予想すると、ワクチン接種率によって2つのタイミングで条件を段階的に緩和することになるとみる。さらに、国内の次にはインバウンドの解禁を検討する課題が控えている。
 
  • 日本のコロナ対応策の特徴と課題 - 国際比較の視点から見えてくるもの - 翁百合 NIRA 総合研究開発機構理事 NIRA オピニオンペーパー No. 57 | 2021 年 5 月
    • 2020 年、世界経済は未曾有のコロナ危機に見舞われた。日本の対応は、国
      際的に見ると比較的うまくいき死亡率も抑えたといえる側面もあるが、深刻な
      構造的課題が浮き彫りになったといわざるを得ない。
    • 国際比較の視点から見て、特に重要な課題は、医療提供体制の総合的な見直
      しと非常時対応の態勢整備、経済安全保障としてのワクチン開発の強化、接種
      に伴う様々な規制への機動的対応、データ分析や未来社会の構想に基づいた重
      点的・機動的な財政支出―などである。
    • また、将来にわたって重要な政策対応は、コロナ禍に伴う公的債務の拡大と
      格差拡大への対応である。これらに対しては、格差拡大を縮小する方向での税
      制や財源の在り方などについて検討する必要がある。
       
  • 「オリンピックが開催できる状況ではない。その決定的理由とは」公衆衛生の第一人者が断言《渋谷健司氏緊急寄稿》 渋谷 健司 2021/05/25 文春オンライン
    • 公衆衛生の第一人者で現在相馬市新型コロナウイルスワクチン接種メディカルセンター長の渋谷健司氏は、「ワクチン接種も今のペースでは、到底間に合わない。逼迫している医療体制は、これ以上の感染拡大に対応することは難しい。五輪は中止すべきだ」と断言する。
    • まず、世界的な変異株の蔓延で、多くの国々ではコロナ禍が収束していない。既に海外からの観客は受け入れないことになっており、大会期間中、選手団への頻回検査が検討されている。選手や関係者へのワクチン接種も発表されたが、ワクチンは感染を完全にコントロールできるものではなく、また、全ての選手や関係者がワクチンを打つとは限らない。ワクチン接種が進んでいる先進国はその恩恵を被ることができているが、大多数の国々では選手を含めた国民の多くにワクチンが行き渡るには相当な時間がかかる。
       
  • 少子化、コロナで加速 20年度の出生数4.7%減 2021年5月25日 15:33 (2021年5月26日 5:20更新) 日本経済新聞
     
  • 「コロナ禍と医療イノベーションの国際比較」 連載第6回(日本のコロナ対策失敗の本質)2021年5月24日 キャノングローバル戦略研究所
    • 1.はじめに
        コロナ対策における日本政府の無能ぶりが際立ってきた
        医療界が自画自賛してきたフリーアクセスは虚構だった
    • 2.わが国のコロナ論議における常識の誤り
        指示権のない日本医師会に期待するのは筋違い
        コロナ病床確保ができないのは医療費抑制政策が原因ではない
        松本市のコロナ病床確保成功モデルと海外の IHN との比較
        「コロナ危機下の医療提供体制研究会提言」の誤り
    • 3.米国から学ぶデジタルヘルス変革の成功条件
        コロナ禍を巡る最新ニュース
        コロナ禍収束後の医療イノベーション論議が活発になった米国必読書:HEALTHCARE DIGITAL   TRANSFORMATION
    • 4.Integrated Healthcare Network(IHN)は社会的共通資本
        IHN は社会的共通資本の実例
        カイザーと Providence の収支構造を比較して分かること
        日本に強固な社会的共通資本事業体を創る
 
  • コロナ禍1年の家計消費の変化-ウィズコロナの現状分析とポストコロナの考察生活研究部 主任研究員 久我 尚子 2021年05月20日 ニッセイ基礎研究所
    • 感染状況が悪化しても、当初ほど個人消費は落ち込みにくくなっている。その要因には、再度の緊急事態宣言の発出は一部地域にとどまること、店舗施設の営業自粛要請が当初と比べて限定的であること、感染防止対策の習慣化や危機意識の低下などにより生活者の感染不安が弱まり、人の流れが減りにくくなっていることがあげられる。
    • コロナ禍による消費内訳の変化を見ると、食関連では外食が大幅に減る一方、パスタや肉、出前などの支出が増え、食事では手軽さと質の高さの需要が増している。外食需要が中食へシフトしているが、コロナ前から中食市場は共働き世帯の増加などで拡大していた。ポストコロナでは外食需要は徐々に回復するだろうが、テレワークで人の流れが変わるため、店舗立地に工夫が求められる。
    • 交通や旅行、レジャーなどの外出型消費の支出は感染状況と連動し、前年同月をおおむね下回る。ポストコロナでは回復基調を示すだろうが、テレワークで通勤需要が減るため、交通機関では新たな領域での展開や業態転換を合わせた検討が求められる。旅行やレジャーではコロナ前から、特に若い世代で娯楽の多様化等による相対的な興味関心の低下が課題であり、引き続き相違工夫が求められる。
    • パソコンなどのテレワーク関連製品は給付金の後押しもあり、支出額が増えている。耐久消費財であるため、購入後数年は落ち着きが見られるだろうが、今後も一定のサイクルでの需要増が期待できる。一方、背広服などのオフィス着の需要は減っており、コロナ前からオフィス着のカジュアル化の流れはあったが、ポストコロナでは一層、製品ラインナップのカジュアル化などの流れは強まるだろう。
    • ゲーム機の支出は全国一斉休校や感染が再拡大した夏休みなど、子どもの生活と連動して増えている。また、デジタル化の進展でデジタル娯楽の需要が増している上に、コロナ禍での需要増が加わり、電子書籍などのデジタルコンテンツの支出も増えている。今後はシニア層でもスマートフォン利用率などが高まることで、電子書籍などは幅広い層に需要が広がる可能性もある。
    • 2020年の個人消費は巣ごもり需要に加えて、オンライン対応など企業の創意工夫に支えられたが、支出額の大きな外出型消費の大幅な減少は個人消費全体へ与える影響が大きい。米国などワクチン接種先行国では、すでに外出型の消費がコロナ前の水準に迫る勢いで回復している。日本でもワクチン接種がいかに早期に進むかが回復の鍵だ。
       
  • 消費起爆剤:ワクチン・パスポート導入 ~苦境の個人サービスを救う~ 第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部 首席エコノミスト 熊野 英生 2021 年 5 月 19 日(水)
    • 今後、ワクチン接種が進んでいくと、国内においてワクチン・パスポートを導入することで、それが消費拡大に貢献すると考えられる。すでに接種を済ませた人同士が、飲食店のワクチン・パスポートを見せて、制限なしに利用できることとする。それがなかった場合に比べて早期の消費回復が見込める。その効果は、個人向けサービスの事業者にとっても、損失を小さくできるだろう。
       
  • 「コロナショックと日本経済 -1年間の評価と今後の展開-」 独立行政法人 経済産業研究所(RIETI) 宮川 努2021年5月13日 BBLウェビナー プレゼンテーション資料
    • 新型コロナウイルスの感染拡大から1年余りが経過し、データが蓄積され、日本経済や各国の状況について、データに基づいた判断ができるようになった。
    •  本書(コロナショックの経済学 宮川 務 データを下に危機の実態に迫る 中央経済社)は、昨年までのデータを使った分析だが、本BBLでは、その後の展開を踏まえた議論をする。
    • 現在も感染拡大は収束を見せていないが、世界中でワクチン接種が始まり、日本でも供給面では目途がたちつつあることから、コロナ禍の経済損失からの回復を議論できる状況になってきているのではないか。
 
  • ラストマイルデリバリーの潮流 ̶コロナ禍を受けたEC市場拡⼤で⾒えてきた将来像̶ 2021/5 三井物産戦略研究所 産業情報部 産業調査第⼆室 ⾼島勝秀
    • コロナ禍を受けてEC市場が急拡大するなか、需給が逼迫したラストマイルデリバリーの領域では、店舗を物流拠点として活用する実店舗リテーラーのECが急伸したほか、MFC(小型物流設備)の普及、テック企業と連携した省人化・効率化といった対応が進んだ。
    • これらの事象からは、ラストマイルデリバリー機能の内製化とアウトソーシング、共同化の進展、MFCと大型物流センターの使い分けといった中長期的な取り組みの将来像が浮かび上がってくる。
    • こうした取り組みは、拡大するラストマイルデリバリーの需要を満たすとともに、コスト削減と配送の迅速性・正確性・安全性といった物流サービスとしての質的な高度化につながることも期待できる。 
 
 
 
 
  • 新型コロナワクチン接種後の死亡例〜検証は十分か?病理専門医の視点から(追記あり) 榎木英介 | 病理専門医かつ科学・技術政策ウォッチャー 5/8(土) 7:00 Yahoo!JAPAN ニュース
    • 資料によれば、令和3年2月17日から令和3年4月27日までに報告された19事例すべてが「情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの」とされている。
      • 不明が一番多く、解剖を行ったのがわずか2例、死亡時画像診断という、死亡後にCTなどを行って出血等病気の有無を調べることを行ったのが2例に過ぎない。
      • 全ての症例で死とワクチン接種との因果関係を評価するための情報が不足しているとされている。解剖しようと思ってもできなかったケースもあるが、限られた検査で因果関係なしと早急に結論を出しているようにみえるケースもある。
    • もちろん、解剖をしていたり、死亡時画像診断をしていたりしても死因とワクチン接種との因果関係が明らかではなかった。解剖や死亡時画像診断をすればよいというものではない。死因を特定することは簡単なことではないのだ。
    • 作家でもと病理医の海堂尊氏がいうように、「死因不明社会」はいまだ解消していない。「死因不明社会」がもたらす弊害が、今回の死因検討でも一部明らかになったように思う。
    • それは新型コロナウイルス感染者が亡くなった場合も同じで、ウイルス感染が死に因果関係があるかを知るためには、可能なら解剖や死亡時画像診断を行い、時間をかけて検討する必要がある。しかし、それが十分になされているとは言い難い。
    • 2019年には「死因究明等推進基本法」ができるなど、死因究明を重視すべきだという機運は高まっている。6月1日には、死因究明等推進計画が閣議決定された。死因究明にヒト、モノ、カネが集まり、関心が高まることを願う。
    • 2021年6月13日追記
      • 死亡例は196名になった。ただ、解剖や死亡時画像診断を行う例が少ない点は変わっていない。全て因果関係は評価できないとなっている。